送信者: ddd 日時: 2001年2月26日 19:25 宛先: ******@**.***.**.** 件名: お伝えしたいことがあります 他人と違う嗜好に憧れる君へ。 いま君は、古いゲーム機だとか、その他あまり一般的とは言えないゲームメーカーなんかに憧れていますね。 そういうのに関わってはいけません、危険です___なんて言っても、どうせ君はわけが解らず、それどころか 一体どうして危険なのかが知りたくなって、そういうのがどういう物なのか見たくなってしまうのでしょう。 でも、どうして危険なのかを知れば、きっと君はそういうのに憧れるのをやめてくれるでしょうね。 どうして危険だとか、どういう物だとかを説明しますから、面倒かもしれませんが、最後まで読んで下さい。 先ほど、古い機体や妙なゲームソフトには関わるなと言いましたが、実はこれ自体はあまり問題はありません。 (無ければ、それにこしたことはないんですけど)別に在ったとしても、ただ憧れてるだけの君にとっては、 ただの珍しいゲームでしかありませんからね。注意してほしいのは、これらのゲームのことを知る人達です。 しかし僕は学校の先生ではないから、君に「彼らは危険だ」なんて言っても、すぐに言う事を聞いたりせず、 何故そういう人達が危険なのか、やはり君は興味を示すだけで警戒してくれはしないのでしょうね。 ですから、まずは彼らについて詳しく説明しておきましょう。彼らがどういう人達かを知れば、君の憧れる 異質な嗜好がどのくらい危険か、40%くらいは理解できるでしょう。絶対に覚えておいてください。 後で彼らを恨んだりしないために。 ここは何か例がないと面倒なので、例えのエピソードとして、とあるゲームショップの話を挙げましょう。 ここで挙げるのは、僕の知り合いの__ネットの知り合いですけどね__坂本と言う短大生から聞いた話です。 えーと今から数えて、三年前でしょうか。 ・・・その当時の坂本は熱狂的なゲームファンでしたが、熱狂的と言っても、特別にマニアックというわけでは なかったんです。まあ普通でもなかったそうですがね。当時一般と違うものを持っている物が何かあるとしたら 小学生のころに原価で買ったPCエンジンコアグラフィックス2とCDROMのソフトが一枚くらいの物で、 それにも当時は凶悪な関心を持ってはいませんでした(いませんでしたが、それでも「もしもお店に売ってたら 欲しいなー」くらいの興味はあったようです)。でも普通の物のほうは、特に金持ちと言うわけでもないのに 何故か諸事情でいっぱいソフトを所有していたようです。しかしそのときはまだ、他人様に所持品を自慢しても 理解される次元のタイトルでした。例えば、何やら怪しげなゲームを買ってきたりしても、実はついこの前 雑誌に載ってたプレイステーションのソフトだとか、サターンマガジン読んだら辛うじて理解できた、とか、 そういうゲームだったんですね。 それがある日のこと、坂本はどの雑誌を読んでも判別つかないような怪しげなソフトを買ってきました。 もしかしたら意表をついて音楽CDかも・・・しかしケースにはどうみてもゲームっぽいコピーが載ってます。 実は、坂本はある特殊な店で新しくゲーム機を買ったのでした。それも一般には妙に珍しい古いタイプで、 新作が発売するなんて期待できないような代物です。そんな物なんで買ったかというと、実は坂本の家には 彼の兄が上京する時に残していった、そのゲーム機のソフトが捨てられずに残っていたのですね。そのソフト、 彼の兄が上京する以前は、画面を見せてくれることはあっても、持ち主である兄が許さずほとんど遊ばせて くれなかったそうです。そのソフトに対する好奇心が、坂本とゲーム機とを引きあわせたのかもしれません。 ゲーム機の名前は、PCエンジンDUOと言う、互換その他諸々で説明しにくい機体です。 後の彼の話では「推測だが、あの時自分は家族に自慢していたのかもしれない」とのことです。彼は購入した 品物の希少性や価値などを時々家族に解説してみせたそうですが、家族に当時のゲームを知る人はいなかったし 勿論今のゲームを知る人もおらず、感心などされなかったそうです。彼の場合、家に理解者がいないとなれば じゃあ友人ならどうかと言えば、友人は一人もいないので理解者どころでなく、当時PCエンジンの「良さ」を 解ってくれるのは、そのDUOを売っていた店の店員だけだったそうです。 その店員は決して悪い奴ではなかった__そうですが、店員の事で坂本は思いっきり後悔しているようです。 坂本は、ゲームにかけては彼よりずっと博識だった店員をかなり信頼していました。DUOを買うときにしても、 ああだこうだと常人には理解できない講釈を受けたそうです。それも強制ではなく、半分は坂本の意思でした。 ・・これは、なんなのですか、どんな物だったのですか、どうすればいいのですか・・ __後の坂本の述懐では「僕は人の話を聞くのが好きだったのかも」だそうです。君は御子様か?と言われても 彼は反論できんでしょうね。君は、そういった心配はないですか?____ 話を聞かせている店員にも、聞いている坂本にも、本人同士が知らないうちに、坂本の方は、”店員の生徒” になってましたね。例えば新作を買う際、雑誌やインターネットの情報は一切参考にしないのに、店員の意見は 新聞記事よりも参考にしていたそうです。それだけ信頼しているくらいでしたから、店員の意見は、単なる 「新作ソフトを購入するか否の参考」だけではなくなっていました。例えば、中古問題だとか、Squaresoftの 悪口だとか、あまり健全でない話題が盛り沢山になってきましてね、ある時期の坂本は、インターネットの 大きなコミュニティでの口喧嘩で、論敵(と呼ぶとカッコイイですが、実は単なる口喧嘩相手です)に対し、 店員の意見の縮小コピー版で対応していたそうです。もちろん彼には、難癖をつけられたあとに言い返す力など なかったのですけどね。その時はさんざんに打ちのめされたそうです。無茶するもんじゃないですね。 坂本が後悔してるのは、当時ネットでイヂめられたからとかではなく、その後に彼のゲームに対する考え方が 変わってしまったからなのですね。例えばSquaresoftだとかEnixなど、こういった有名なメーカーのゲームを 避けるようになった代わりに、Treasureだとかのカリスマメーカーだとか外国製のゲームなんかに手を染めたり、 そうでなければ、無理をしてPCエンジンなどの古いゲーム機のソフトを優先して購入したりしていました。 彼は「皆と違う物」が好きでした。だから、外から見て変な物ばっかり買っちゃってたんですね。その後彼は、 皆と同じでいたくないからだったのでしょうか、流行っているゲームの悪口を言うようになりました。 あのメーカーは悪だとか、またはあのメーカーのソフトを誉める奴は俗物だとか、そんなことを叫びまわって 浸ってたんですね。自分は頭がイイんだと思い込んでいたのでしょう。何故なら彼らにとって、俗っぽい ゲームを買ってる奴らは頭が悪い人達でしたから。 でも最初は、まあそれでも満足していられたのでしょう。皆と違ってても、やはりゲームですからね、 歪んでいてもゲームで盛り上がる事が出来ていたのです。最初はね。 君は察しが良くないから、この後どうなったかなんて、わかんないでしょうね。いいですか、 ここが一番大事な所なんです___坂本はね、この後、ゲームに対する感覚が狂ってしまったんですよ。 ・・もし判らなかった時のために、補足をしておきましょうか。君もゲームレビューとかそういうサイトを いくつか見かけたことはあるでしょう。例えばああいうのを坂本にやらせた場合、賭けても良いですが、彼は どんなゲームにも好意的な点数はつけません。つけられなくなったんです。楽しめないから。 ゲームが異常に好きなのに、ゲームのしすぎで、どんなゲームも面白くなくなっちゃった・・と言えば いいのかな。精確には違うのですけれど、まあ彼らの気持ちなんて彼らにならないと判りませんから。 でも、彼らのようになっても良いことはないんですね。君は、彼らのようになって後悔したいですか? ある日坂本は、チャットだか掲示板だかで、次のような台詞を口走って凄く慌てたそうです 「昔は良かった」 ゲームサイトに限らず、ネットサーフしてれば必ず無理矢理聞かされる羽目になるこの台詞。 坂本曰く「まさか自分が言ってしまうとは思わなかった」との事です。話を聞いた時、僕は大爆笑しましたが。 坂本は後で否定しましたが、どちらにせよ「昔」を意識する汚らしい亡霊に成り下がってしまったことは 否定できないんですね。 さて、君はどうですか、やっぱり「昔は良かった」ですか。 さすがに、ああ、昔は良かったー昔は良かったなー、なーんて事を口走って昔に浸って、 気がついたら、今に置いていかれてた、なんて間抜けな人にはなりたくないでしょう。 今回僕が紹介したのは、この時点でまだ最悪の事態ではありません。 まだまだ下があります。坂本はあくまで初歩です。 君はまだ、彼のようになりたいですか? もしそうなら、後日別の例を送ります では失敬 |