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送信者:   ddd
日時:    2001年3月4日 19:25
宛先:    ******@**.***.**.**
件名:    


今回用意した例は別の人で、河原と言う人の身に起きた出来事です。

河原は妙に嗜好が一般とズレており、加えて自分の周囲に対してとんでもなく無関心な人でした。
さらに異様に消極的な性格だったために、殆どの場面において自分から何かをする__何かを頼む、または断る、
自分から話しかける__という事ができず、やはり友達はいなかったそうです。しかし、それを始めた時点では
”友達同士の会話”と呼べるような物は多分二年くらいはしていなかったため、既に独りでいる事が当たり前だった
彼にとって、「友達」という言葉は物語の中だけの言葉でした。だから、広告に載ってるような
「趣味の合う仲間が見つかる!」
といった御約束の宣伝文句は、河原にとっては妙に興味深い物だったんですね。なにしろ彼は、
その時点で友達という物を忘れていましたから。


事件が起きた場所はインターネット。あの気軽に友達作れて、しかも気軽に裏切れると言う、それでも割と評判の良い
不気味なインターネットのコミュニティです。


 インターネットを利用したコミュニケーションには色んな物があります。Eメール、BBS、チャット、
その他メッセンジャーソフトなんかのサービス等。しかし現行のシステムでは、文字を利用した物が殆どです。
文字だけのコミュニケーションという世界は、会話が苦手な河原にとってはAVセレクタよりも便利な物で、
彼はそれを利用して異常なくらい饒舌になり、いろんなコミュニティに参加して目一杯文字を吐いていました。
特に彼はテレビゲームが大好きで、チェックするホームページがゲーム関係の雑誌や本でURLを見つけたような
場所ばかりなら、やっぱり発言するコミュニティもゲーム関係の場所に限られ、なかでも河原が留まった
とあるコミュニティなどでは、河原よりも物知りな(少なくとも河原にとっては)ビジターが大勢いました。
そういった一般的でない知識に憧れていた彼は、そこのビジターを特に信頼するようになり、自分が買う
ゲームソフトに関しても彼らの意見を重視するようになりました。

その彼が崇拝していたそのコミュニティは、実はあるゲームメーカーのファンサイトでした。
精確にはファンサイトではなく、同じモノを愛するファンが集まってるだけのコミュニティだったのですが、
そういうコミュニティなら、同じような質問をすれば、皆同じ事を言いますし、皆同じような物を支持して
同じような物を批判しているんですね。そういうふうに同じような人ばかりが集まるサイトなら、
彼らの意見はハンコをうったような物が多数で参考にすべきではないのですが、それでも河原は、彼らや、
または彼らのそれと似たような考えを崇拝するようになっていました。
そんな調子だから、これが良い、と勧められたゲームは買ったし、
良くない、と批判されたゲームは買いませんでした。


その時期はファイナルファンタジー8が発売した直後でしたが、河原はゲームサイトやメールのやりとりをする
友人の影響で、妙にSquareSoftを警戒するようになっていました。何故なら、彼が巡回するゲームサイトや
コミュニティでスクウェアの悪口を言わない所はなかったし、メールのやりとりをした友人にいたっては、
ファイナルファンタジー8を実際にプレイした感想として批判をしていたからです。
彼は、信頼するコミュニティで、こう質問しました「FF8、評判が悪いけど、どうなのですか?」

・・聞かされると買いたくなくなるような感想がいっぱい跳ね返ってきました・・

だから、河原は中古でもファイナルファンタジー8を買いませんでした。
その後に発売したスクウェアのゲームも、ちょっと広告を見たくらいで、意識して記事を見なくなりました。
なぜなら友人達が、「SquareSoftのゲームはどうせクソゲームだから、記事なんて見るだけ無駄」と、
スクウェアの話になるたびにそれに近いことを言っていたからだそうです。


河原は、こういうコミュニティとつきあっているうち、知らない間に、自分がゲームに期待するということが
出来なくなっている、またはしなくなっている事に気がつきました。
感覚が逝っていたんですね。
河原はこの状態を修正する方法を探したそうです。古いゲームを処分しようとしたり、彼が参加するコミュニティが
否定しているスクウェアのソフトを購入しようとしたり、しまいには原因をインターネットだと仮定して、
一旦インターネットをやめたりもしたそうです。そのころには、河原がかつて崇拝していたコミュニティや
メールのやりとりをする友達は、彼の目には全て自分を騙した詐欺師としか写らなかったそうです。
最後に挑戦したのが、アニメ絵嗜好の人達に迎合する事でしたが、これは妙に金がかかり、学生である河原には
金銭的にキツイ物がありました(ソフト1本8800円)。

河原はその辺は半分諦め、次は自分がどうしてこうなったかを考えるようになりました。
まずは買っていたゲームの種類。これは、参加していたコミュニティが推薦していた、いわゆる「良いゲーム」を
優先して買っていました。逆に、コミュニティに批判されていた方の、いわゆる「良くないゲーム」の方は
やはり彼らの意見を優先して殆ど買わず、しかもこっちは全てやったことがありませんでした。
参加していたコミュニティが「良くない」とするゲームがどんな物か、河原は全く知らなかったんですね。
それがファイナルファンタジー8を妹が貰ってきたため、彼は「良くないゲーム」がなんなのか、参加していた
コミュニティの言っていた事は正しかったのか、確認する機会を得ることが出来ました。
プレイ直前に、彼はコミュニティにどんなゲームですか、と訪ねたそうですが、彼らは当たり前のように
あれはクソゲーだ、と、その話題自体が冗談であるかのような反応を示しただけでした。
その後にプレイステーションの電源を久しぶりに入れた時の河原の中には、彼らから与えられた友好的でない先入観と
二種類の歪んだ期待(彼らに賛同できる、または反抗できる)、そしてそれと同じ理由での不安がありました。
__電源を入れた後の結果は、散々な物でした。
二年間。河原はクソゲームだと信じてきたのだから、彼にとってファイナルファンタジー8は、完全な
クソゲームでなくてはなりませんでした。しかしそのタイトルは彼が信じてきたようなクソゲームではなく、
広告や、一般ゲーム誌の評価を地で行く内容になってたのです。
ゲームの途中で、河原はこんな事を考えました。
・・二年前にファイナルファンタジー8をやっていたら、自分はどうなっていたんだろう・・
もしそうした場合、きっと河原はゲームサイトを意図的に避けたりはしていなかったでしょうし、本屋の
ゲーム雑誌が置いてある棚には定期的に立ち読みをしている彼の姿が見られたでしょう。何より彼の部屋には、
間違いなく初期型のプレイステーション2が置いてあったはずです。
この件で自分にとってファイナルファンタジー8がとても魅力的なゲームだという事に気付いた河原は、
長い間、他人の評価を参考にしてゲームを買うか買わないかの判断を下していた事を後悔し、また自分が買っていた、
または買わなかったゲームの種類が感覚が狂った原因の一つだと思うようになりました。

河原は自分の「考え方」が今のようになった原因についても確認しようと思いましたが、それは河原がそれまでに
出会った人達の属性を確認すれば、そんなに難しいことではありませんでした。彼が参加していた
ゲームメーカーのファンが集まるコミュニティや、メールのやりとりをしている友人、マニアックなゲームサイトなど、
今の河原が持っている「ゲームの定義」に類するものは、全て彼らから学習した物だったからです。


結局河原の感覚が狂った原因は、意思力の無さと、他人の意見を疑わない、下手をすれば疑うという事が
どういったことかを分かっていない彼自身にありました。
間抜けな人もいたもんですね。

では失敬

おっと彼の悪口を書くのに没頭して忘れてしまう所でした
特殊な物に憧れるのは、河原が最初にした事と同じです。君は、彼のような人になりたいですか。

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