シューティングゲームというのは最近少ない。
気取った連中などが「冬の時代」などと自信満々で言っているくらい、シューティングゲームは調子が悪い。
まず儲かっていない、らしい。ゲームセンターのシューティングゲームは隅っこに置かれているし、
第一表現があまり新しくないので、シューティングゲームの筐体には僕のような変な客しか集まらない。
家庭用機では全く発売されない。たまに出ても、かなり下らない内容であることが多く、売れるどころか
店の棚のスペースの無駄になっているのが殆どだ。
そんなマズいジャンルに、妙なメーカーが参加した。
ビジュアル至上主義だとの非難が激しいSquareSoftである。
ファイナルファンタジー7などのクソゲームを発売したあの体制メーカーさんだ。さすがに彼らだと悪い意味で
期待が高まる。彼らの干渉を理由として、このジャンルの復活を期待するのを中止した人も少なくないだろう。
発売されたソフトのタイトルは「アインハンダー」。
タイトルのアインハンダーは、自機に標準装備されたマニピュレータを指す。この機械の腕は、敵機から
武装を奪い取り、規格とかそういうのは一切無視して自由に使用することができる優れモノである。
奪い取ることができる武器はバルカンやキャノン、ブレードなどだが、素敵なことに弾数制限があり、
残り弾数を一々一々気にして戦わねばならない。そのため敵がどんなに派手に吹き飛んでくれても、
その時には残弾を必死で数えているケチな自分がいるだけなので、そこに爽快感は発生しない。
しかも音楽が暗い雰囲気を誘発するだけとくれば尚更だろうか。興奮どころか、溜息をつくだけとなっている。
しかも難易度が高いときた。プレイヤー側で調整できる難易度では、イージーからハードまであるが、
のっけから敵の装甲が堅い。時々「ハードモードと間違えたのではないか」と思うくらい、堅い。
これで本物のハードとなれば夢のような難易度となり、僕などクリアしたことは一度も無い。
しかも自機が撃墜されたときのコンティニューの対処が、従来のように「その場で復活」でなく、
「指定された場所に戻ってからやりなおす」となっている。これは運動会の徒競争で転んだ場合で言えば、
「すぐに起きあがって走る」を「指定の場所に戻ってから走る」となってしまい、かなりアホらしくなる。
また、この”難しい”原因の一つに、シューティングゲームが発売するたびにマニアが言う「当たり判定」がある。
本作は2Dスタイルのゲームだが、表現は3Dなので、敵の弾と自機との距離を確認しにくく、気がついたら死んでいた、
といったような事故が多発している。さらに敵機が奥から向かってくる事があるが、本作では、従来のように
機体が手前にくると明るく表示される、と言う事が無いため、いつ当たり判定が発生したのか判らない。
非常にツライ。あとコレは油断したヤツの場合に限るが、ボスを撃破したあとも自機に当たり判定が残っている、
という事も批判される場合がある。もちろん従来のゲームでは、ここでは次のステージまで無敵状態になれるのだが。
無理して誉める所を探せば、「衝撃的なストーリー」と「美麗なムービー」というのがあるが、
そんなんがあったってゲームレビューは書けない。本文は完全な悪口になってしまいそうだ。
しかしこれらが表現する世界観は魅力的ではあるので、こんな物でも愛せるSquareの熱狂的なファンは
時間があれば買ってみると良いだろう。今中古で買えば980円くらいで、かなり正当な価格となっている。
まあ、こんな感じで残念なことに、本作では大衆の映像嗜好に頼りすぎたメーカー側の油断が目立つ。
従来の作品では当たり前の事をすっかり忘れてしまっているのだ。もしかしたら、旧体制に対する反抗、といった
Square的な考えでやったことなのかもしれないが、もしそうなら、ならばこの新体制はマトモか、と訪ねてみたい。
僕は決して新しい物を認めない訳じゃない。しかしこれが新しい体制なら、ゲームは滅茶苦茶である。